『礼　銀貨で足りず　酒付き合え　嫌なら殴る。
　追伸　肩に負ってた傷　開いた　責任とれ　嫌なら死なす。
　責任から　逃げたら　犯す』

（以上、包帯代わりに使われた布へと、血文字で書き殴られた鬼気迫る書置きの文面。
　尚、本人は布団の中で、肩に、包帯代わりに雑な当て布をした程度の、ほぼ全裸状態で爆睡中。
　尚、宿の部屋に布団は一つ（それはもう良い））

（目が覚めたら隣に女…とも男ともつかない昨日のヒトが隣に（半裸で）寝ていて、鬼気迫る迫力を醸し出す脅迫文が添えられていた。僕が何をしたっていうんだ、と言いたい所だけど、多分此処まで運んでくれたんだろう。さて――――。）

　あのまま運んでくれたみたいだね。ありがとう。
まだ少し具合が悪いから、調子戻ったらちゃんと付き合うよ。
とりあえずすごい　文章　怖い。　
（適当な紙に書かれた文面は其処で途切れていて、未だ少年は錫音のベッドの上に突っ伏している。帰ろうとしたんだけど、などという言い訳はまた目覚めたと気にでもするのだろう。）

『承知した。早く調子治して呑み行こうや。
　錫音。』

（布に新たに付け足された毛筆の一文と、それに添えられる不恰好な握り飯が三つ。
　鬼娘は…相変らずの様子で眠りこけている。





　そして、その一文の下にも更に、小さく…小さく…）

『追伸：ウチん肌見て興奮しても、元気になるまで我慢せぃ』

（致命的にまでイラネェ事も一つ、付け足されている。殴れ、若しくは蹴れ。）