（魔女ギルド、ヒルデガルド・グレーテの元に行き届いた質素な封筒。
　宛先は“ヒルデガルド・グレーテ様”差出名は“純白の王子様”だった。）


ヒルダちゃん。大丈夫かぁー？


アイツとの決着はどうなったのか聞きたいンだが良いか？

都合の良い日時を教えてくれるとありがたいんだが…
場所は…、プライベートな内容になるかも知んねェーから。
月の滴、べたべた、とか何でも良いぜェ

まァ…、個人的にはヒルダちゃんのお家が良いけどッ
ジョークかどうか、流してくれちゃって良いけど…

じゃ、返事を待ッているからなァ

P.S.
契約の刻限も近付いてンだしさ、そろそろ相談しないとなァ…


（小奇麗な洋紙、薔薇の香り付き。字だけが決定的に汚かった。
　これまでの手紙の筆跡を見比べても、成長の兆しが感じられない。）

色々あったけど、まあなんとか私は無事よ。
話さなくちゃならない事が一杯あるわ。

とりあえず、そうね。月の滴で良いかしら？
魔女ギルドの同僚には傭兵を雇ってエレナを殺した奴を
追っている、なーんてことは内緒のままだったから、
私の部屋はちょっとだけ都合が悪いのよ…ごめんなさいね。

日時はそうね。25日金曜日の夜９時半からはどうかしら？

生きてたのが何よりだったなぁ。

大丈夫だ、情報なんて漏らさねェよ。
分かっていたことだし気にしないでくれ。

金曜日の午後９時半からならオッケーだぜ。
じゃあ、部屋は取っといたからなぁ。
×××番の部屋で待ってるぜ。