幻の水面 ショートストーリー劇場 「尋問の夜」
作:ねこさん
アングリマーラの特殊謀略部隊、黒魔団に入隊したばかりのメルティスが体験した初任務は失敗に終わり──。
捕らえられた彼女が体験した悪夢……。
ACT1.捕縛
窓から月が照らす暗い城内の廊下を、メルティスは走り続けていた。彼女は青いレオタード姿のみで、さらに肩まで伸ばした青い髪を風に靡かせながら走っている。腰のベルトには鞭と水袋をぶらさげている──水魔法使いである彼女にとって、それは命綱ともいえた。
「そこだっ! 追え!!」
背後から野太い兵士の声が聞こえてくる。兵士の持つカンテラの光が少女の辺りを照らし出す。城の守備兵らは彼女を──間者の潜入を許すつもりはないようだった。
「しつこい連中ね、まったく」
悪態をつくものの、その声には余裕が無くなってきている。見ず知らずの場所、そこを追われている自分は地理に不案内で勘を頼りに走り続けるしかない。しかし、敵の兵士らはこの城を知り尽くしており、しかもメルティス一人に対して何十人もが追っている。
(これじゃあ不公平よ! もう……とんだドジを踏んでしまったわ)
メルティスはこの城──クリスティア城へと潜入した時のことを思い出す。
アングリマーラ藩王国特殊部隊『黒魔団』へと入隊してからの、初めての任務。両親を、妖魔であるというだけで人間どもに殺され、復讐のためにアングリマーラへと流れてきた彼女を迎え入れたのは、その組織のみだった。彼女は必死に訓練をし、水魔法を学んでいった。そして、その訓練の成果が試されるのが、今夜なのである。
最初のうちは悪くなかった。城の灯りを水の魔法によって一斉に消して、そのまま城壁を静かに登って城内部に潜入することに成功したのだから。
しかし、彼女の幸運もそこまでだった。中庭を走っている時に、獰猛な番犬に妖魔である己の匂いを察知され、さらに兵士らに見つかったとあっては。
(初任務でいきなりミスるなんて……ああ、私のバカばか馬鹿)
メルティスが自己嫌悪に呵まれていた時だった。
豪奢な深紅のカーペットが敷かれた通路、その右側に並ぶ扉の一つが開かれ、そこから高貴な白いドレス着の少女が現れたのは。その少女は黒い長髪を伸ばし、形のいい眉に強気そうな顔をしている。いまその瞳は、闖入者である自分を見て驚きに見開かれている。
(あっ……あの娘……その装飾からして王女に違いない……では、あれはクリサリス姫かアリサ姫……)
自分と同年代の幼い顔立ちからして、おそらく第二王女のアリサのほうだろうと判断した。
メルティスは咄嗟に腰を下ろすと、床を蹴って跳躍した。腰の鞭を抜くと、相手の腕に絡ませようと伸ばす。
「人質になってもらうわよっ。覚悟ーーッ!!」
これで自分の生存率はかなり高くなりそうだ。王女が命の危険にさらされているとなれば、背後から追ってくる兵士どもも下手な手出しはできなくなる。──さらに、王女を人質にしたままアングリマーラまで連れてきたならば、これまでの失態にお釣りがつく。
だが──王女は、ふん、と接近するメルティスを鼻で笑うとドレスの下に手を伸ばす。メルティスの目にはきらりと輝くものが飛び込んできた。それは、王女がレイピアを一閃させた為だった。メルティスの飛ばした鞭は、王女のレイピアの横撃によって軽々と弾き飛ばされる。
「っ!!」
メルティスが驚愕に顔を強ばらせた時、王女は彼女のもとへと突進してきて、白いドレスのスカートを振り上げて己の右膝をメルティスのみぞおちへと蹴り上げた。
まさか、高貴な王女がそのようなはしたない攻撃に出るとは予想もつかなかった彼女は、もろに攻撃を許してしまう。
「うぐぁっ!?」
激痛が腹から背筋を駆け抜け、メルティスは目の前が真っ暗になっていく。
ぐらり、と地面が近づいてきている。
(いえ、違うわ。私が地面へと近づいているのね)
自分の身体がどさっと床へと落ちるのが感じられた。意識がすうっと遠くなっていく。
「あ、アリサ姫様……お怪我はございませんかッ!?」
「まったく。城を騒がしていた間者ってこいつのこと? こんな奴一匹に手こずるなんて、だらしないわねぇ」
「も、申し訳ありませぬっ」
追ってきた兵士らが王女に向かって謝っている声を聞きながら、メルティスは意識を失ってしまった──
ACT2.尋問
メルティスが目を覚ましたとき、彼女は薄暗く埃臭い地下牢に閉じこめられていた。
部屋の壁には、鞭や槍、さらに得体のしれない拷問器具が並べられている。壁の四隅からの松明の灯が照らされ、部屋はその熱気でやや暑苦しく感じる。
そしてメルティス自身は──鋼鉄のベッドの上に両手を頭上で枷によって手首を拘束されて寝かせられていた。さらに両足首にも枷が嵌められ、それが鎖を伝って床に結ばれている。足のほうはある程度は自由に動かせられるようだが、それでもここから逃げだせそうにはない。
「ようやくお目覚めかね」
男の声がすぐ傍でした。メルティスは首だけを動かして声のほうへと振り向く。
そこには何人かの拷問士の男に取り囲まれるようにして、豪奢な貴族の服を着こなしていた色白の若者が立っていた。眼鏡の下に酷薄そうな瞳が彼女の全身に注がれている。もちろんその視線は愛情の欠片も感じさせないものである。
(どうやら……私は連中に捕らえられて──)
メルティスはようやく己がどういう危機に晒されているのかを理解した。気絶した自分はクリスティア城の兵士らによって捕らえられ、この城の地下牢でこれから尋問を受けるのだろう。
控えめに言っても彼女の今の立場は絶体絶命と呼ぶほか無いものであった。
「貴方は……誰?」
声がややかすんでいたのは、先ほど腹を王女に蹴り上げられた痛みからだった。
「それを問える立場かと思っているのかね?」
眼鏡の若者は薄い唇を歪めた。メルティスはしかし、この若者の正体を憶測していた。
「ならば私が言うわ。クリスティア王家の第二王子、王国の諜報機関を束ねる主であるラーカス卿直々に私を尋問するとは光栄なことね」
「ほう。なぜ僕が王子だと思った?」
ラーカスは酷薄そうな唇を歪めつつ、尋ねた。
「貴方の似顔絵を見ているもの。城で出会ったら──即座に暗殺するようにって」
言ってからしまった、と思った。案の定、ラーカスはメルティスの慌てた顔を見ながらふふっ、と笑っている。
「さっそく、君の雇い主から受けた依頼の一端を口に出したな。もっとも……君が誰からの命でわざわざこのクリスティア王国にまでやってきたのか、僕はだいたい推察できるがね」
「…………」
今度はメルティスが沈黙する番だった。
ラーカスは傍らに立つ拷問士たちに顎をしゃくった。拷問士らは頷くと、二人がメルティスの左右から足へと近づいていく。
がしっと彼女の素足を掴むと、膝を左右に開きつつ鉄のベッドの上に固定していく。
メルティスは、無理矢理に股を開かせられていた。
「なっ!? なにをするのッ?」
羞恥で顔を赤くしながら叫ぶ。
「ゲームだよ。楽しいゲーム。君が耐え切れれば勝ち。だが、その前に君の精神が崩れたら、僕の勝ちだ」
「……貴方、狂っているわね」
メルティスの言葉に拷問士らは顔色を変えた。
「き、貴様っ。たかが工作員の分際で王太子殿下に対して何たる口の聞き様!」
「……構わぬ。僕は、気の強い娘が好きだよ」
ラーカスはにやりと笑うと、拷問士の一人から鞭を手に取った。
そして笑顔のまま、鞭を振り上げ──彼女の下半身、その柔らかい下腹部に全力で叩きつける!
「きゃああっ!!」
身構えていたものの、それでも王子の鞭はメルティスにとっては耐え難いものだった。彼女は妖魔とはいえ、所詮は14歳の少女であり、魔法使いとしての腕はともかく、肉体はそれほど強くはない。
激痛が背筋を走り、両手足をじたばたと暴れさせながら悲鳴を上げる。しかし、頭上でベッドの上に固定されている手首の鋼鉄の枷はびくともせずに、足のほうも鎖がじゃらじゃらと鳴るのみでぴくりとも動かせずいた。
「……おやおや、さっきの威勢の良さはどこにいったのかね?」
「くっ……こ、殺してやる……」メルティスは王子を睨みつける。
「……ふん。さて、お遊びはこれくらいにしよう。ではまずは……貴様の名前と所属する組織を告げるのだ」
メルティスは唇をぎゅっと閉じて、一言も告げないように決めた。
「ふっ。まだ痛め足りない様子だな。もっともあれくらいでは、まだ満足できないか? ならば──」
ラーカスがメルティスの足の側へと歩いていく。まるで奴隷の品定めをするような目で彼女の青いレオタードで包まれた下半身を眺める。
「おい……火を使え」傍らの拷問士に王子は命じた。
びくりっ、とメルティスは震えると、王子の方へと首を向けた。
「な……なにする……つもりなのよッ!?」
火。
それは水魔法使いの彼女にとって、もっとも忌むべき物であり、同時に弱点でもあった。
拷問士らは王子の命令に頷き、壁に掛けてある黒くて長い棒のようなものを取り出す。その先端にはすでに火打ち石によって引火してあったのか、灼熱のオレンジ色に輝いていた。
その熱く輝く火の棒を持った拷問士は、メルティスの広げられた足の間へと回って、その火の棒を中央へと伸ばしていき──。一気に彼女の股間へと押しつける。
じゅっ……
肉の焦げるような匂いがした。
「うぎゃあああーーーーーーッ!!!」
メルティスの断末魔の悲鳴が尋問室に響いた。
ACT3.陵辱
メルティスは下半身からの激痛に、目からじわりと涙を零しつつ呻いた。
「ハァ……ハ、ハァ……うぅっ……」
ラーカスが顔を近づかせて、上から覗き込むように彼女の目を見る。
「言え。所属と名前だ」
「うっ……ううっ……」
メルティスは唇をそっと開くと──
ぷっ!
唾をラーカスの顔へと吹き付けた。
「…………」
メルティスの唾はラーカスの眼鏡の左のガラスに付着した。それがとろりと垂れて、王子の白い頬へと流れていく。
「きっ、貴様っ!!」
拷問士らが喚きだした。
しかし、ラーカスのほうは意外と冷静な表情で、眼鏡の奥の瞳は蛇のように冷徹そのものに彼女の顔を見ている。
「……ふっふっ。ふっはっはっ。気に入ったよ」
ラーカスは乾いた笑い声をあげると、拷問士の一人に向かって言った。
「この娘の下の服を脱がせろ」
拷問士──太った三十代ほどのその男はにやりと笑うと、メルティスの下半身の薄手の青いレオタードを指で摘むと、横へとねじり曲げて、その秘所を表に出していく。
「……っ。な、なにするのよッ!!」
屈辱に震えた顔をすると、メルティスは両足を閉じようとする。だが、それを事前に察知していたのか、屈強な拷問士二人が、彼女の両膝を左右に開いてベッドへと押さえつける。
たちまちM字に開脚させられたメルティスの秘所は、ラーカス王子や男達の目に顕わにされてしまう。まだ使われていないためか、うっすらとピンク色のままだった。さらに火傷を負った部分が赤く爛れている。
「ううっ……や、やめっ……」
がくがくと震えているメルティスを見て、ラーカスは唇の端をつり上げた。
「どうやら、貴様、まだ生娘のようだな。いいだろう。この僕がじきじきに開いてやろう。さきほどの唾のお返しだよ」
ラーカスはズボンのファスナーをおろして己のそそり立つものを取り出すと、ベッドの上にあがって彼女の開かれた割れ目の中へと押しつけようとしてくる。
「い、いや……許して……」
メルティスは泣き出しはじめた。先ほどの自らの行為に後悔しだしていた。
「厭だね」
第二王子はそう冷酷に宣告すると、己のものを一気に彼女の中へと突き刺した。
「……っ!!!」
まだ濡れていないメルティスの中に無理矢理に男のものが押し込まれ、彼女は先ほど火傷を負っている場所に擦りつけられる──。激痛に、背筋を思いっきり反らせて叫び声をあげる。
「あぐぁーーーーッ!!」
獣じみた叫喚。しかし、ラーカスは彼女が壊れるのを一切気にすることなく、己のものを充分に前後左右へと廻すようにしてメルティスの中を蹂躙していく。
わざと、ゆっくりとしているのかもしれない。
メルティスの秘所より、破瓜の血が太ももを伝わって鉄のベッドへと流れ落ちていく。
「いやあ……妖魔の膣というのも、人間の娘とは違った興趣があるものだ。お前らも楽しむがいい」
拷問士の男たちもにやにや笑いながら逸物を取り出すと、次々とベッドに上がっていってメルティスを犯しはじめた。
彼女の口腔の中へ己のものを入れて、喉にまで押し入れていく者。
背中より両手を前に廻し、レオタードの隙間から内部へと入れて、その幼い胸を揉みし抱く者。
さらにメルティスの尻を舌で嘗めていき、その菊座を軽く噛む者。
一斉に襲われた少女は、全身から受ける激痛に、気も狂わんばかりになる。
「あぎゃあああっ!! ひぃ、ひいぃぃぃーーッ!!」
もう誇りもなにもなかった。目からぽろぽろと涙を流していた。
そこにラーカスの悪魔的な囁きが聞こえてくる。
「さあ、言え。所属と名前を、だ」
メルティスはまるで自動人形のように口を開き出す。
「あ……アングリマーラの黒魔団所属……水魔法使いのメルティス……ううっ」
一刻も早く、この責め苦から解放されたい──たとえそれが己の死に至ろうとも──としか考えられなくなった妖魔の少女は、途切れ途切れに自らのことを告げていく。
部屋の隅に立っていた書記が、羽ペンでさらさらと動かして彼女の記述を書類に記していく。
「やはりアングリマーラか。では、なぜ、我が国へと潜入してきた?」
「……城の守備計画の書類を……奪うようにと……」
「ふん。防衛網の弱点を探ろうということか。藩王殿らしいやり口だな」
ラーカスはそう評すると、己のものをさらに激しく何度もメルティスの中へと突いた。メルティスは激痛に背筋を痙攣させて暴れる。
「っ!? た、助けてくれるんじゃないのっ!!」
「はぁ?」ラーカスは失笑した。「そんな事は、一言も言ってないが。貴様のような妖魔の屑への用はもはや無い。あとは、せいぜい肉奴隷として死ぬがいい」
ラーカスはメルティスの子宮口まで己のものを押し込むと、すべてを絞り出すような射精をした。さらに片手を彼女の膣へと伸ばすと、その秘芽を摘み、強引にねじ曲げていく。
「あぎゃああああーーーーーッ!!!」
メルティスは身体を暴れさせる。だが、両膝は男たちに押さえつけられているし、手のほうはびくともしない。首を左右に振るたびに彼女の青い髪が揺れる。
己の口の中に拷問士の一人が逸物を押し込み、さらに白濁液を喉へと流し込んだ。それと同時に自分の菊座へも背後の男が己のものを押し入れていく。自分の胸の突起は何人の男に弄くられたのか覚えていない。
男達から与えられる激痛の渦の中で──メルティスは意識を失っていった。
ACT4.レジスタンスの女闘士
城の地下では、囚人が入れられる地下牢が並んでいた。その一つへ、二人の兵士が左右の脇を抱えられてメルティスは引きずられていた。
牢の鍵が開けられ、そこに妖魔の少女は乱暴に投げ込まれる。うつ伏せになり、足を四十五度に開いてお尻を突き上げたメルティスの格好に、兵士らはにやにやと好色そうな笑みを浮かべると、すぐにガシャリと扉が閉められる。兵士らは再び戻っていった。
階段を登っていく足音がどんどん小さくなる。
「うっ……ううっ……」
うつぶせのまま、彼女は起きあがろうとした。
だが、下半身の傷が酷くて、足に力が入らない。結局、諦めてうつぶせのまま眠ることにしようとした。
「おやおや……新入りさんかい?」
ハスキーな女の声がした。メルティスは顔だけを上げて声の主を捜した。
そこでは、ベッドの上に腰掛けている30歳ほどの女がいた。黒い髪をカールして浅黒いイエロティアの肌、グラマーな体躯を萌葱色の囚人服に包んでいる。が、それでも女の胸はメルティスの二倍はありそうだった。その色気は娼婦のようにも見えるが、女盗賊の頭といっても通用しそうだった。
「あ、貴女は──」
「私かい? 私はロザンナ。クリスティア解放戦線の戦士だ」
「解放……戦線……?」
メルティスはその組織の名前だけは知っていた。クリスティア人を王家の支配から解放するという武装組織だ。早い話がテロ集団である。ヴァレンティアノス家を殲滅、ないし追放し、クリスティアに自由を取り戻すまでは、あらゆる武装闘争を辞さないと公言している集団だった。周辺敵性国家や農村ゲリラ、反抗貴族、さらにモンスターや得体の知れない連中と連衡しながら、王国の衛兵と市内で死闘を演じている。
この女も、その途中で捕らえられたのだろうかとメルティスは思った。
「そういうあんたは、誰なんだい? お嬢ちゃん」
お嬢ちゃん、と呼ばれてメルティスはムッとしながらも、この格好のままだと恥ずかしいので体勢を整える。なんとか上体を起きあがらせると、
「私はメルティス。アングリマーラの間者よ。……さっきドジ踏んで捕まっちゃったけど」
「なるほど……黒魔団か。先ほど城が慌ただしかったのは、あんたの仕業ってわけだな」
「そうよ」
ロザンナは両腕を胸の前で組みながら、メルティスを値踏みするように見つめる。
「だが、もうその様子だと、早くもゲロっちまったようだな」
「…………」
つい先ほどの屈辱を思い出し、恥ずかしそうに視線を床に落とす。
そんな彼女の様子を見ながら、ロザンナはふっと笑い、
「まあ仕方ないさ。ラーカス王子……あいつは人間の仮面を着けた悪魔だ。いや、悪魔のほうがやつに恐れをなして逃げ出すかもな。あの男は、捕虜を辱めるのを楽しんでいるんだ」
「その様子だと、貴女も、あの男に尋問されたようね」
メルティスの言葉を聞き、女闘士は目つきを鋭くした。
「……そうさ。それでこっちも、もう限界ってわけだ。毎夜、やつの考案した『尋問』に呵まれる日々──同志は捕らえられた私のことを見捨てる決定をしたようだ。私にはもう……未来がない。余裕がないんだよ!」
ロザンナは立ち上がると、メルティスのほうへと近づいてくる。その瞳の危険な色を見て、メルティスはぞくりと震えた。思わず後退しようと身じろぎするが、ロザンナはその余裕を与えなかった。
「……いや。やめてよ……」
ロザンナの手が彼女の胸へと伸びてくる。その手がメルティスの胸をレオタードごしに揉みしだく。先ほど、陵辱されたばかりの彼女はたちまち自分の突起が硬くなっていくのを感じた。
「メルティス。お前は可愛いねぇ。私を慰めておくれよ……」
「やっ……」
ロザンナの手がすっと下へと降りていき、彼女の性感帯を刺激していく。
「ふぁっ……ふぁああっ……」
メルティスはそのたびに情けない声をあげてしまった。
「おやおや。もう、下はこんなに濡れているじゃないか」
ロザンナはそっとメルティスの両太ももの内側に両手を入れると、やさしく開いていく。そして彼女の下半身の蜜へと唇を伸ばしていくと、ちゅうちゅうと音を立てながら嘗め出す。
「ふぁあっ……い、いやぁっ……!」
「そのたびには……嬉しそうにどんどん蜜を出してくるじゃないか」
メルティスはロザンナの舌が自分のものを刺激するたびに快感が背筋を走っていき、下半身の感覚が無くなっていく。女テロリストは、巧みであった。メルティスは一方的に責められ続け、喘ぎ続ける。
そして、つい──
メルティスの緩んだ尿道から黄色い小水が零れた。嘗めていたロザンナの顔にメルティスのものの飛沫がつく。
「……あら?」ロザンナは顔を離すと、メルティスの顔へと向いてにやっと笑う。「お漏らしなんて、はしたない子ね」
自分がしたことに気づいて、メルティスは羞恥にさっと赤くなる。
「だって……だって……」
「いいのよ」
ロザンナはやさしい声で遮ると、舌を伸ばして自分の鼻先についたメルティスの小水をぺろっと嘗め、再び彼女の下半身へと唇を伸ばしていく。
「全部、私が吸い取ってあげる…」
「ひぃっ」
ぴちゃぴちゃ、と派手な音を立てて自分の大切なところを嘗めていくテロリストに、メルティスが果てそうになったとき──
再び番兵が階段を降りてくる音がした。そして牢へと近づいてくる。
ロザンナも聞こえたようだった。軽くメルティスの下の口へちゅっと音を立ててキスをすると、顔を離す。メルティスは赤くなりながら俯いた。
番兵が鍵を開けて、再び牢内へと入ってくる。牢内で先ほどまで行われていた痴態にすぐに気づいたのか、にやにやと笑っている。
「小娘。すぐに連行する。我々に着いてこい」
「早いわね……さっき尋問したばかりなのに、またなの?」
両腕の脇を再び二人の番兵に抱え上げられながらメルティスはうんざりした顔で告げた。
「違うな」
番兵の隊長は口元をにやけさせた。
「貴様はこれから、我が国へのスパイ容疑で処刑されるのだ」
ACT5.メルティス処刑
メルティスは先ほどの尋問室へと再び連れられていた。兵士らの手によって彼女の両手両膝には枷が嵌められ、そこから鎖で天井へと吊される。鎖は天井の滑車によって一つへと繋げられ、壁に組み込まれたレバーへと伸びている。
レバーの脇では、処刑人と立場が変わった拷問士の男が控えていた。他に何人かの男がいたが、メルティスの目はその中心にいるラーカス王子へと向けられた。
メルティスは鎖によって両足を広げられ、宙ぶらりんの格好にさせられている。男たちの視線がすべて、己の開かれた下半身へと注がれているのを知り、彼女は屈辱に顔を顰めていた。
「……な、なにをするつもりなのよッ!」
恥ずかしい格好をさせられて赤くなりながらも、ラーカスに向かって叫ぶ。
「ふっふっ。牢でそのまま首を斬っても良かったのだが、せっかくのことだ。少し余興を、と思ってな」
「よ、余興ですって!?」
ラーカスがぱちっと指を弾くと、控えていた拷問士の二人の男が部屋の隅へと移動し、何か大きな台を左右から抱えて、宙ぶらりんにされているメルティスの下へと持ってきた。それは、皮の袋を被せられているので、中に何があるのかはわからない。
男二人が袋を外した。すると、それは壁の松明の光に照らされて、ぎらりと鉄灰色の輝きを見せる。
三角木馬、であった。だが、ただの木馬ではない。鋼鉄で補強されている三角の先端は、まるで斧の刃のように鋭く尖っており、それがメルティスの股間の真下に位置していた。今、宙の彼女との間には、一メートルほどは間隔がある。
メルティスは下を見て、ごくりと喉を鳴らした。
「……ま、まさか、この下に降ろす……って訳じゃないでしょうね……」
「もちろん」王子は酷薄そうな唇の端を歪める。「貴様の想像しているとおりだよ」
ラーカスが言うと、拷問士の男たちがげらげらと笑い出した。
「やれ」
ラーカスが冷酷な声で命じると、拷問士が壁のレバーを降ろした。
きゅるるる……
鎖が伸びていき、メルティスの両手両膝を持ち上げている四本の鎖がゆっくりと彼女を落としていく。
「ひぃぃっ。や、やだっ!! やめてよぉっ!!」
ほとんど涙声になりながら、身体をじたばたと揺らす。しかし、そんな事で落下は止められずに、メルティスの開かれた秘裂が三角木馬の鋭い刃へと近づいていく……。
(もう、駄目……)
メルティスは緊張して身体を固めた。
そして接触しようとした刹那──
扉が蹴破られ、そこから一匹の鬼が中へと入ってきた。薄緑色の体色をした二メートル近い体躯に、皮の荒れたベストを羽織っている鬼だった。右手には曲刀を軽々と振り回している。
鬼は中の様子を確認すると、「メルティス!!」と叫びつつ、壁際の拷問士のもとへと突進していった。
たちまち刀を拷問士の腹へと叩きつける。うげぇ、と呻いて男は血潮を噴き出しながら崩折れた。
「くそっ。敵の手の者か! 城の兵士は何をしているのだ!!」
ラーカスは舌打ちをする。
「殿下、ここにいては危のうございます。ひとまず、お引きを!!」
「そ、そうだな。僕はここを離れる。すぐに番兵を呼べっ!」
ラーカスは叫びながら、一番最初に扉から逃げていった。その後に拷問士らが走り去っていく。彼らとて戦闘訓練を受けているわけでもない。無抵抗の囚人が相手ならばともかく、このような突発事態に対応できる者はいなかった。
メルティスは乱入してきた男に見覚えが無かった。それに、彼女はそれよりも──
すでに自分の秘裂へ鋼鉄の三角木馬の食い込みが始まっていた。じわじわと激痛が走り、鬼に向かって叫ぶ。
「はっ、はやくそこのレバーを止めてぇっ!!」
鬼は「わかったぜ!」と吼えると、壁のレバーへと走り、片手でニュートラルの場所へと戻す。伸びていた鎖が止められ、三角の刃のそれ以上の彼女の下半身への食い込みはストップする。
「ほっ……」
メルティスはいまだ食い込んでいる部分がじんじんと痛むものの、どうにか危地を脱することが出来たと身体の力を抜く。
「じゃあ、鎖を上げてくれる?」
「おう」
鬼がレバーをぐいっと下へと降ろした。
がくっと、鎖が──伸びていき、再びメルティスは下へと降りていく!!
鋼鉄の食い込みがさらに自分の秘所へと突き刺さり、油断して身体の力を抜いていたのでもろに激痛が背筋を走り抜けた。
「ぎゃあああああーーーーーッ!!!」
「あ、わりぃわりぃ。レバー操作間違えたわ」
鬼がレバーを逆に上の方へと上げた。今度は鎖が引かれていき、メルティスはゆっくりと上昇していく。
「うっ……ひ、ひどい……」
泣き出す彼女に鬼が近づいていくと、両手首、足の枷を引きちぎっていく。恐るべき怪力であった。人間ではまず不可能であろう。
そして両手でメルティスを抱きかかえる。
「まだ、あんたの名前、聞いてなかったわね」
「ああ。俺か? 黒魔団のヴィラーハっていうラクササ族の男だ。生粋のガンディア出身だぜ」
それが誇りであるかのように男は自慢げに告げる。ラクササとはガンディアの羅刹鬼族の名である。
ヴィラーハはメルティスを軽々と抱き上げたまま、通路のほうへと走っていった。
「あいにく、こっちの任務も終わったからな。ついでに、捕まったドジな後輩を助けにいこうと思ったわけだ」
「そ、そうなの……。でも、他にも城へ潜入している部隊がいるなんて、知らなかったわ」
メルティスが言うと、ヴィラーハはにやっと笑った。
「アマちゃんだな。もともと、お前はオトリの役目だったんだよ」
「えっ!?」
「藩王陛下にとっては、俺たちの部隊が本命ってわけだ。お前が敵の警戒網の目を引いてくれたおかげで、こっちは楽に書類を盗むことが出来た」
「そ、そんな……酷い……」
「ああ。酷でぇ話だ。チャトランガ(印度チェス)の駒のほうが、まだ大切に扱われている。だが、可愛い女の子を見捨てるのは俺の信条に合わん。それに未来の妻を見捨てるわけにもいかんしな」
最後の言葉がメルティスはカチンとくるものがあったが、もう反抗する気力はなくなっていた。
ヴィラーハはたちまち城の窓の一つへと走っていく。窓の外の下は水堀となっており、水面が静かに流れていた。
背後から叫び声が聞こえてくる。城の番兵に見つかったようだ。
「じゃあ、跳ぶぜ。しっかり捕まっていな!」
ヴィラーハは軽々と跳躍した。メルティスはぎゅっと羅刹にしがみつきながら、最後に城のほうを見る。
(あの王子、それに王女──いずれ、決着をつけてやるわ!)
二人はたちまち水堀へと飛び込み、やがて闇の中へと消えていった──
おしまい
あとがき
最近このサイトにエロが少ない、という意見を見ていて、そういえばエロエロな話ってSSにはないなあ、と思い、ちょいっと書いてみました。
こっちのラーカス王子は、なんだか馬鹿っぽいですw
メルティスは、責めも受けもどっちも出来るキャラなので、そのうち責めモードの彼女も書こうかと。
いや、ロールのほうでもいいですが(−−;)(←照れてる奴)
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