幻の水面 ショートストーリー劇場「レナ&リル 触手モンスターとの戦い」
作:ねこさん
冒険者となったレナ、ダンジョンで奴隷魔法使いの少女リルと出会う。
二人は触手を操るモンスターと戦って敗北を喫してしまい──
ACT1.レナとリルの出会い
暗闇にまるで蛍の光のように一つの灯が動いていた。
そこは地下特有の生臭い黴びた匂いがする岩肌の通路がずっと奥まで続いている。しかし、床は人工的な石畳になっている。明らかに人の手によって作られたものだった。だが、すでに石の合間には苔がびっしりと埋め尽くされている。たとえかつて人が建てたものであったとしても、すでに人が管理するもので無くなっているのは明らかであった。
その場所は、ヴェイトスの人間からは「ダンジョン」と呼ばれていた。
原義の地下牢という意味からは、すでにかけ離れている。地下10階におよぶ大迷宮であり、そこはほとんど島中のモンスターが弱肉強食を繰り広げている魔界である。
ここに巣くうモンスターにとって、等しくそこは地下牢なのかもしれぬ。
さらに、モンスターが貯め込む宝を求めて、トレジャーハンター、冒険者らがダンジョンへと潜入するのが後を絶たなかった。
一攫千金のチャンス。生きるか死ぬかの大博打に捕らわれた馬鹿者どもが、後を絶たなかった。
彼らもまた、この地下牢の囚われ人なのかもしれぬ。
今、通路にかぼそい灯を持って移動している、その少女もまた、そんな冒険者の一人なのであった。
レナは、左手に握るランタンをやや掲げて、通路の奥を見ようとしていた。
彼女は今、ピンク色の真新しい皮のビキニ鎧を身につけ、右手には女性用にやや小さめに作られたロングソード、そして左手の腕には木製の丸盾を装着している。
女戦士としては、ごく一般的な格好といえよう。
ただ、剣も鎧も新品のようだった。惜しげもなく見せている腹も太ももも、戦士として必要な筋肉に欠けている。白い綺麗な肌には傷一つついていない。まだ駆け出しの冒険者であることは明らかであった。
活発に動けるようにと肩までに切り揃えた茶色の髪に包まれた18歳という年齢にしてはやや幼く見える顔は、いま真剣な表情で通路の奥を見ている。
「ふん。思ったよりも、大したことないじゃないの」
レナは強気な声で呟く。だが、その実、心臓はどきどきと早鐘を打っていた。暗闇がランタンの灯りのゆらぎに応じて、なにか異様な化け物の姿に見えたりするたびに、ぎょっと怯えてしまう。
(もう……過去の自分を殺すつもりで来たのに、なんでこんなに怯えるのよ……)
レナは自分の怯懦を戒めた。
彼女は、ほんの数日前までは、ヴェイトス大学へと通うごく普通の大学生だった。
しかし、一通の手紙が彼女の人生も精神も決定的に変えてしまった。
恋人からの別れの手紙──
ヴェイトス市の上流階級の子女との結婚が確定してから、レナの恋人は手のひらを返したようにして別れの手紙を送ってきたのだ。
レナが慌てて彼氏のアパートへ行くと、もうそこはもぬけの殻であった。
(あいつの願いなら何度も叶えてあげた。願われると、エッチな格好もさせてあげたし、陵辱の館にまでわざわざ行って変態エッチにもつき合ってあげた……なのに、だのに、すべて遊びだったなんてーっ!)
思い出すだけでも、腹が立つ。男に対しても、相手が自分を愛してくれていると勘違いしていた自分の馬鹿さ加減に対しても。
(あれから、こんな恥ずかしい格好の鎧を着けているのも、冒険者なんて始めたのも、みんな……みんな私を捨てたあいつを見返すため……それに、私の失ったプライドを取り戻すため……)
一晩泣き続けてから、レナは今までの自分を捨てて、別の何かになりたいと痛切に願い、有り金をはたいて武具を買い、このダンジョンまでやってきたのだ。
(ここに来たら、なにかがわかる気がする……ただ、あの街にずっと居るのよりはマシよっ)
そう考えている時、ひたひたと通路の奥から足音がした。レナは身体を強ばらせると、慌てて剣と盾を構える。
「こっちはレスリングで鍛えてたのよ。そう簡単には……」
レナは大学ではレスリング部で身体を鍛えていた。普通の女の子よりも、戦いは得意である。
そう信じたいところであったが、身体の緊張はなかなか解けずにいる。
(もう……冒険者って、よくこんな生き死にで平然としていられるわね。変人の集まりなのかしら?)
などと考えていた時、彼女の持つランタンが近づいてきた者を照らし出した。
それは──小さな女の子だった。
オレンジ色のツインテールの髪に白いお人形のような顔、真っ白なレオタードにニーソックスという欲情を刺激するような格好をしていて、両手には魔法使いのロッドを握る。ロッドの先端の赤いルビーの宝石が、レナの持つランタンの光に照らされてきらりと輝いた。
さらに少女の首には銀色の首輪が嵌められていて、奴隷であることを知らしめていた。
ゴブリンの集団と取っ組み合いになるかと緊張していたレナは唖然として少女を見た。
「あんた……なんでこんな所にあんたみたいな奴隷が居るのよ?」
「そ、その……あの……」
少女はレナの言葉にたどたどしく答える。
どうやら警戒を抱かれていると気づき、レナは顔を綻ばせると右手の剣を鞘に戻した。
「私はレナ。女戦士よ。別にあんたを襲おうって気は無いから、そんな怖い顔しないで」
「……その、リル、です」
ぺこっとリルは頭を下げた。
「リル、監督からここで宝探しをするように命ぜられてて……それで……」
その言葉でようやくレナにも理解することが出来た。奴隷の中には、もともとの技術を用いて冒険者として使われる奴隷もいるという。おそらく彼女は魔法使いの腕を使われて冒険者奴隷となっているのだろう。
(それにしても……いくら奴隷とはいえ、こんな年端もいかない女の子をダンジョンへ放り込むなんて、鬼畜な奴らねぇ……)
レナはそう考え、にこっと笑ってリルに向かって呼びかけた。
「ならば、あんたもあたしと一緒にパーティを組みましょ。一人より二人のほうがいいでしょ?」
パーティとは冒険者用語で仲間の集団のことである。戦士に魔法使い、とお互いの弱点を補い合うことで、戦力は何倍にも膨れ上がる。
「えっ!? い、いいんですか、レナ……さま」
「いいっていいって。はははっ」
正直、魔法使いがサポートにいると、ずっと安心できる。レナにとっても、渡りに船だった。
リルは遠慮がちに微笑むと、レナの横へとついていった。
「あんた、向こう側から歩いてきたけど、そっちの方はお宝は無かったの?」
「はい……残念ながら……」
リルの言葉を聞いて、レナはうーん、と考え込み、
「ま、いいわ。じゃあ、そのうち別の通路を調べてみましょう」
そう答えて、前進を再開したのだった。
通路はやがてT字路になっていた。レナとリルの二人は今まで通っていない道を選び、進んでいく。
どこまでも伸びている通路を油断無く前方を凝視しながら、レナはリルに尋ねていった。
「リルちゃん、あんたなんで奴隷になんかなっちゃったのよ。その魔法の腕があれば、逃げ出せなかったの?」
暇なので何気なく尋ねてみると、リルは悲しそうにかぶりを振った。
「リル……パパが商売で借金を持っちゃって……それで奴隷ギルドに売られちゃって……パパは行方不明になっちゃうから、リルが借金すべて返さないといけないの……」
ひくん、と涙を目に溜めていく。レナは慌てて答えた。
「そ、そうだったの。御免ね、イヤなことを思い出させちゃって」
レナは剣を鞘に戻すと、正面からリルの身体を抱いていった。
「あ……」
「お姉さんに任せておきなさい、リルちゃん」
背中に手を回して、やや力づよく抱く。
すると──リルの胸のレオタードの上にある二つのリング、突起を取り囲むようなそれが強く振動を開始する。
「あ……ああっ……ぅあっ!」
リルが目を閉じながら高みに昇っていった。顔がほんのりと上気じみて赤くなっている。
「リルちゃん、それ……」
「リ、リルにかけられた魔法で……ふぁっ……命ぜられたり感じたりすると刺激を与えて……」
銀のリングは、リルの小さな突起をぎゅっと摘んで、ぶるぶると回転していた。リルはそのたびに喘ぎ声を漏らす。
「なっ、なんっていう凶悪なものを仕掛けたのよ。奴隷ギルドも……最低ねっ」
レナは憤りを感じたものの、リルのその嬌態を見ると、自分もまた下半身が熱くなってくるのを感じていた。
さっと周りを見渡す。どうやらモンスターの姿はなさそうだった。レナはごくっと喉を鳴らすと、リルの両方の胸を両手で軽く揉んでいく。
「あ……レ、レナ……さま……」
「黙ってらっしゃい。リルちゃん……」
レナは優しく揉み出すと、リルはさらに激しく喘ぎだした。汗が滴り落ちて、白いレオタードはぐっしょりと濡れていく。さらに彼女の下半身の布もまた、微妙に振動を開始してリルの秘所を上へ上へと締めつけだす。くっきりと少女の割れ目が顕わになる。
「ふぁっ……リ、リル……もう……駄目えっ!」
レナはもう躊躇はしなかった。自分の手をリルの秘裂へと伸ばし、レオタードごしにつつっと上から下へと指でなぞっていく。リルは背筋をそらしてさらに喘ぎを漏らす。
(ああ、リルってなんて可愛いんだろう。もうあたし、男なんか相手にせずにガールズ専になっちゃおうかしら……)
このままレナが奴隷少女を押し倒そうと考えた時──
通路の奥から何かが蠢くような音がした。
レナはびくっと身体を強ばらせると、音のした方へと振り向く。
その音は、ずるずる、ずるずる、と何かを引きずるような響きを与えている。
「レ、レナさま……?」
突如、手を止めたレナにリルは怪訝そうに見た。
「しっ。この奥にモンスターがいるようよ。行きましょ」
レナは再び剣を腰から抜くと、構えつつ前進していった。リルはそっと頷くと、両手でロッドを握ってレナに続く。
ACT2.触手モンスター
二人はやがて通路の奥の扉へとたどりついた。音はその奥から聞こえてくる。
「レ、レナさま……やっぱり、やめませんか? わざわざ危険な目に遭わなくたって……」
リルが不安そうに扉を見ながら言う。
「いいえ。こういうモンスターと戦わないと、財宝が見つけにくいものよ。行くわよっ」
レナは自分も逃げ出したい思いを振り切ると、扉に蹴りを加える。激しい音とともに扉は蹴り倒され、部屋の中が顕にされる。
部屋の中心に、一匹のモンスターが鎮座していた。
巨大な丸太のような身体に無数の触手が生えている。本体には大きな一つの目が見開かれ、それがぎょろりとレナとリルを睨みつけている。
「うっ……」
リルが小さな悲鳴を喉の奥で鳴らした。
レナもまた、顔を強ばらせ、右手に握る剣をそっと構える。
(あの触手……あれが武器となっているのね。とにかく剣で斬りつけ続ければ……)
レナは作戦を定めると、左手に持っていたランタンを床に落としてリルに向かって叫ぶ。
「リルは援護を頼むわ。行くわよっ!」
モンスターはレナが突進してくるのを予測したのか、触手を五、六本ほど牽制のために伸ばしてくる。
レナは気合の叫びとともに剣を振るい、その何本かを斬り捨てる。
右へ、左へ。
剣が払うたびに、触手が切断され、床でぴくぴくと蠢く。
「ファイヤーボール!!」
リルが呪文を完成させ、本体に向けて炎の玉を飛ばそうとする。両手に握るロッドの先端にあるルビーから赤い火の玉が浮き上がり本体へと突進していき命中。たちまち身体の一部を焼き出す。モンスターは触手をぶるぶると振るわせて転げ回った。
「行けるわっ! とどめを刺すわよ!!」
レナが勝利を確信して突進しようとした刹那──
床に転がっていたと触手の一本が突如として起きあがり、鋭い速度でレナの右足首を掴み、絡みついたのだった。
「!!」
レナが突然の奇襲に驚愕の表情を浮かべた時、触手はぐいっと引っ張り、レナを転ばせる。レナは尻餅をついて悲鳴をあげた。
「ああっ!!」
さらに連携しての触手がレナの右腕へと伸び、全力で剣を叩いた。転んだ衝撃で手の力を緩めていたため、あっさりと剣は弾き飛ばされ、床へと転がる。
「し、しまった!!」
「レ、レナさまぁぁーーーっ!!」
リルの悲鳴が聞こえた。咄嗟にリルのほうへと振り向いたレナは、彼女もまた、二本の触手によって両足首を掴まれ、ずるずると部屋の中央へと向かって引きずられていくのを見た。すでにロッドは触手によって弾かれたのか、彼女は両手をばたばたとさせている。
「リルーーーーー!!」
その時、レナは自分もまた、左の足首にも触手が絡まり、両足をやや開脚させられたまま、本体に向かって引きずられていくのを感じた。
そして両手の手首にも触手が絡まって、ついに全身を拘束されてしまう。左手の盾もまた、何本かの触手に外されて、床へと転がり落とされる。
モンスターは、獲物の抵抗が不可能となったのを確認すると、ゆっくりと三本の触手をレナの身体へと伸ばしてくる。一本ずつ胸へと向かい、残りの一本は、下半身へと忍び寄っていく──
「ふはぁっ!!」
彼女の胸にも下半身にも触手が絡みついた。粘液でぬるぬると濡れているものが、レナの白い肌を汚していく。慌ててレナは逃れようとするものの、暴れれば暴れるほど、その触手はレナに絡みついてくるように思われた。
レナの胸を触手はビキニ越しに揉みしだく。強く、時には弱く。その乳首を中心にとぐろを巻くようにレナの二つの丘を擦りつけ、彼女の性感を刺激していく。
「うっ……や、やめなさいっ!!」
レナはたまらずに暴れるが、手足にからまった触手はびくともせずに、彼女を疲労させただけだった。
「レナさまぁ!!」
リルの悲鳴が聞こえてくる。レナは自分も責められつつも、無理矢理に首を動かしてリルのほうを見た。
リルもまた、触手によって身体を絡みつけられていた。幾つかの触手は彼女の白いレオタードの隙間より中へと入り込み、その一本は少女の秘所を責めさいなんでいるのが見えた。
「リ、リルーーッ!!」
レナの呼び声にリルは顔を向けて、泣き出しそうな顔で答える。
「リル……もう、駄目っ……ヘンな気分になっちゃう……」
性奴隷としても使われているリルは、レナよりも年下なのに、彼女よりもずっと感じやすい身体に奴隷ギルドによって改造されていた。すでに吐く息が荒くなり、目はとろんと閉じられている。
その淫靡な表情を見ていると、レナ自身まで変な気分になってしまう。触手もレナのビキニを脱がしていき、胸と下半身の性感帯をマッサージするように何度も刺激していく……レナも息が荒くなってしまう……。
「うっ……や、やめぇーーーっ」
悲鳴もどこか喘ぎに近くなってしまい、レナは顔を赤くしてしまう。
(だ、駄目……こんなところでイッちゃっては……モンスターの思うツボだわ。な、なんとしてでもモンスターを倒さないと……)
視線を左右に動かして床に落とした剣を捜す。意外と近いところに落ちていた。だが、彼女が右手を伸ばしても、わずかに足りない。
(チャンスは一回のみね……もし、私の動作がモンスターにバレて、剣を触手によって部屋の端にでも弾かれたら──もう、勝ち目は永遠に無くなる──)
ごくり、と喉を鳴らした。緊張で身体が強ばる。
だが、その時──突如として触手は一気にレナの身体の性感帯を一斉に刺激し始めた。胸を強めに絞るようにして揉み、レナの両太ももをほぼ180度にまで左右に引き裂く。股間から背筋を伝わる痛みにレナはウッと呻いた。そこで露呈されてしまった秘所へ三本もの触手が一斉に突き刺さっていき──彼女の割れ目の中を蹂躙するように強引に挿入していく。
「痛いっ、痛っ……いたぁぁっ!!」
レナは敏感な下半身に襲ってきた激痛に、涙目になりながら叫ぶ。一本だけでもキツいというのに、モンスターは三本をほぼ同時に押し込んできたのだ。レナの秘裂は限界までに押し開かれてしまう。
「レ、レナさまぁぁーー」
リルも同様に触手モンスターに責められているようで、その声は淫靡な響きがしている。だがレナはもう彼女へ向き合う余裕もなく、ただ下半身からモンスターによって与えられている激痛に耐え続けるほかなかった。
「痛いっ、痛いーーっ。やめてよぉぉっ!!」
胸や秘所を刺激されていたとはいえ、レナはまだ蜜はさほどは漏れてはおらず、そこに無理やりに挿入されたために、激痛をもろに受けてしまう。あるいは、このような陵辱に慣れているリルのほうが、まだ耐えられたかもしれない。
レナは涙をぽろぽろと零しつつ、両手両足をじたばたと暴れさせる。そして顔を剣へと向く。もう、これを使うしか──
そこで彼女は見たのだった。
剣が以前よりもレナのほうへと移動してきている──
(まさか、見間違い!?)
もう一度見てみるが、確かに剣は彼女のほうへと移動してきていた。現に、ゆっくりと床を浮かぶようにして移動してきている!!
まさか、とレナは奥のリルのほうへと向くと、彼女は全身を絶え間なく触手たちに責められつつも、目をぎゅっとつぶって耐えつつ、唇は素早く動いていた。呪文を唱えていたのだった。
おそらく、レナへの最後の希望を向けて。
(ありがとう……リル……)
レナは再び剣へと視線を向ける。今なら、ぎりぎりで手に取れそうだ。
そう考えていたレナは油断していた。
触手のモンスターは、触手に包まれた中心部から細長い透明な管を伸ばしてきたのだ。先端は三角錐になっていて、触手と比べてずっと鋭い。そして鉄のように硬質になっていた。
それが、レナの下半身へと伸びていき、ぶすっと彼女の割れ目の中へと突き刺さったのだった。
「……っ!!?」
レナは目を見開き、自分の下半身に与えられたさらなる痛みの源へと目を向ける。湾曲した透明な管が自分の秘所に接続されていた。さらに彼女からは見えなかったが、「それ」が自分の中を食い破るように突き進み、子宮へと容赦なく突き進んでいるのが、激痛によってわかった。
「なっ……やぁぁっ……痛いっ痛い痛い痛いっ!!!」
レナが泣き叫びながら暴れるのを魔物は楽しんでいるかのように、巨大な一つ目をにやっと笑わせる。そして身体をぶるぶると震わせると、管の中を何か白く半透明で丸いものが幾つもレナのほうへと流れるように移動してくる。
レナはすぐにそのものの正体を悟った。
(あたしの中に、こいつ産卵しようとしている!?)
ACT3.初めての勝利
レナは産卵管から子宮へと送られてくるモノに気づき、ぞっと原始的な恐怖にさらされて、両手足をじたばたと暴れさせる。
「いやぁーーっ。う、産まないでーーっ!!」
しかし、触手はレナをぎゅっと掴んでいて、彼女の非力さではどうしようもない。その間に産卵管を通ってきた卵が、レナの中へと流れていった。
──ずきん。
自分の下半身の胎内に焼けるような痛みを感じた。レナはそれが直感的に自分の子宮の中へ卵が植え付けられたことを悟った。自分がただ魔物の産卵の道具にされるという屈辱に、レナは嫌悪と恐怖で一杯になる。
魔物の産卵はさらに続き、レナの子宮へと次々と送り込まれていく。そのたびに下腹部に激痛が走り、レナはびくっと身体を不自然にエビ反りにさせる。
(も、もう……駄目……私……馬鹿、だった……)
少女一人の力でどうにかなるほど、ダンジョンは甘くなかったのだ──
自分のうかつさを呪った。
(でも……でも、リルだけは……こんな目に、遭わせちゃ……いけないっ!!)
激痛に意識を失いそうになるのを懸命に耐えながら、首を動かしてリルの方へと振り向く。
すると、リルのほうへも、排卵管が伸びてきているのが見えた。どうやら魔物の排卵管は一本だけでは無かったのだ。
リルは自分に伸びてきているものを恐怖の目で見つめている。身体ががたがたと震えているものの、レナと同様に手足に触手がからみついていて、動きようが無かったのだ。
レナは自分の中で、かぁっと熱くなるものを感じた。
「駄目っ!! リルだけは……あたしが、守る!!!」
レナは右手を全力で力を込める。触手が突如の彼女の反撃に対応できずにいて、引きずるようにしてレナの手が剣に伸びていくのを止めることが出来なかった。
「ぬおおーーーーーっ!!!」
剣を掴むと、即座に横凪ぎに左へと振るう。触手がぷちぷちと切れていくとともに剣は透明な排卵管へと伸びていき──ぶちりと切り落とす!!
魔物は巨大な目を見開くと、触手をてんでばらばらに暴れさせる。どうやら、その管が魔物の弱点だったようだ。リルへと伸びていた排卵管もとっさに本体へと戻していくのが見える。
レナは容赦することはなかった。下半身からの激痛に耐えながら立ち上がると、剣を両手で構えて魔物の本体へと向けて突進していった。
「死ねーーーーっ!!」
彼女は両手で握る剣を一気に魔物の巨大な目へ向けて突き刺す。モンスターは慌てて目を閉じようとするが、それよりもレナの一撃が瞳孔を貫くほうが早かった。
魔物はさらに激しく暴れて、全身の触手を振り回す。それがレナにも当たって、彼女は剣から手を離して悲鳴をあげつつ背後へと振り飛ばされた。
尻餅するようにして地面へと振り飛ばされる。石畳に激突した臀部から伝わる激痛に、レナは意識がすうっと遠のいていくのを感じていた。がくっと身体から力が抜けて、地面に大の字になる。
さらにとどめを刺すように、天井へと伸びていた触手の一本が、まるで鞭のようにレナの無防備に開かれた秘所へと急降下し、手加減なしに全力で叩きつける!!
「きゃあああーーーーーっ!!!」
(あ、あたし……もう……駄目……)
レナは意識を失った。
レナが目を開いた時、そこにはアップになったリルの顔があった。彼女のオレンジ色のツインテールの先端が、自分の両方の胸へと擦られ、レナはくすぐったく感じた。
「あっ。レナさま、意識を取り戻したのですねっ!?」
リルは嬉しそうに顔をくしゃくしゃにする。
「あ……う、うん……」
ぼうっとして、生返事をする。
と、ようやく彼女は先ほどまでの戦いの記憶が脳裏にフラッシュバックしてきた。
「……!! そういえば、あのモンスターは?」
リルに尋ねると、少女はこくっと頷いて、視線を右へと向ける。
そちらへと顔を向けたレナは、モンスターが自分のロングソードを目に受けつつ床に事切れているのを見た。
ようやく、ほっとして身体の力を抜く。さらに、自分の服もすべてリルによって着せられていることに気づいた。
「……そう。良かったわ……」
だが、すぐにレナは自分が植え付けられたモノを思い出し、ぞくりと顔を強ばらせる。
しかし、リルはそんなレナを見て、静かに優しい口調で答えた。
「大丈夫です。レナさまに植え付けられた魔物の卵は、すべてリルが魔法で取り除きました。霊視で見つけて魔力のコントロールで卵を一つずつ潰して……」
リルが原理をとうとうと喋ったが、レナにはちんぷんかんぷんだった。だが、自分が彼女に二度も助けられたことを知った。うん、と起きあがると、下半身がずきん、と痛み、顔を顰める。
「レナさまっ、まだ身体のほうは安静にしないと駄目ですっ!!」
「そんな事、言ってられないでしょ。ここもまだ危険なんだから。さっきみたいなモンスターがまた出たら……」
レナが言うと、リルはしぶしぶと頷く。
「じゃ、戻りましょうか……?」
リルは出口の通路へと向き直って尋ねる。しかし、レナはそっとかぶりを振った。
「このまま帰ったら、犯され損じゃない。きっとあのモンスターは宝を持っているわよっ。そいつを見つけてから帰るわ」
リルはレナの言葉に呆れた顔になった。口をつぐんでいたものの、その視線には転んでもタダでは起きない性格、と書かれている。
レナはモンスターの目に突き刺さったままの剣を掴むと、ぐっと力を込めて引き抜く。べっとりと付着していた魔物の体液を魔物の死体で拭うと、腰の鞘に戻す。それから魔物の背後へとまわってみた。するとそこには、何千枚もの黄金のコインが鈍い光を発している。
「あっ。あいつ、こんなにも貯め込んでやがったわ」
レナはニッと笑みを浮かべた。
こうして、レナとリルの二人は冒険を終え、財宝を詰めた袋を背負いつつヴェイトス市へと戻ったのだった。
レナはこの冒険のスリルに味をしめて、失恋の痛手がとっくに癒えてからも大学に戻ることもなく冒険者生活を始めたのだった。
リルは集めた財宝の半分を受け取り、奴隷ギルドに支払った。それにより、彼女の借金が減り、自由への第一歩を歩んだのだった。
めでたしめでたし。
おしまい
あとがき
現在の私の使用キャラ、レナとリルの二人のSSです。
エロ系その2。お約束の触手モノです。
そういえばこの触手くん、幻想の水面では居そうで居ないモンスターですねw
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