月葵。ツキアオイもしくは陽葵。 名称と言うよりは分類名。
現在は明るい黄色の髪に金色の瞳。 頭部に、小振りな向日葵の花が連なる髪飾りをつけているように見える。 見えるだけで、実際には身体の一部。引っ張ると痛がる。毟ると泣く。でもまた咲く。 花からはちゃんと種も取れるらしい。
頭の中はあーぱーほえほえ常にお天気。 変種の影響かヒマワリとしては常時テンションは高くない方だが、通常の人間とは比べる方が間違っている。つまりそういうこと。
謳う花、歌う花。 止めない限り結構歌っている。うるさい時は言えば一応止まる。 何分止まっているかは気分次第。ちゃんと静かにさせたい時はきちり言い聞かせるか殴るか。 あらゆる言語体系から外れ、あらゆる言語を内包した奇妙な言語が時折歌詞に混じる。 この世ならぬものに呼びかける為の言語とも言われる。
陽日葵/月向葵 ヒマワリの一種だが、かなり人工的に交配された結果の変種。 特徴はヒマワリに酷似するが、太陽だけでなく月光をも追いかけて花を咲かせる。 太陽の光か月の光による光浴が必要。 どちらの光を浴びせるかによって、外見特徴が変化する特性を持つ、らしい。
〔いつかのおはなし〕 この世で呼んではいけない名のかみさまをこっそりと信奉する団体がありました。 存在するあらゆる言語で、あらゆる声で呼ぶ事が許されなかったかみさまに何とか声を届けたくて、人々は知恵を搾りました。
そうだ。自分たちが呼んではいけないのならば、自分たち以外に呼ばせればいいのだ。 人々は謳う種を土に撒き、収穫された子供達に一つずつこの世ならぬ言葉を教え始めました。 子供達は時に狂い死に、時に得体の知れない変死を遂げました。 その度に種子を回収し、改良して、試みは幾度と無く繰り返されました。 何度目だったかも忘れた頃に、望むだけの種子が花を咲かせました。 人々は手を取り合って歓び、そうして遂に、かみさまを呼ぶ儀式は執り行われました。
けれどそれは、やはり不完全には違いなかったのです。 子供達がうたいはじめるのと同時に、人々はひとりずつ、ふたりずつ、たくさん破裂していきます。 時に、身体の表と裏がひっくり返ってしまったものもいるようでした。 阿鼻叫喚の悲鳴の中に、うたを止めろと叫ぶ声がありました。 こどもたちは首を横に振りました。 自分たちはこの為に幾度も死んで幾度も収穫されて幾度も狂い果てて幾度も生きて死んで生きて来るって壊れて生きてそして咲いたのですから。 きれいにわらう子供達の笑顔を最後に、全てを計画した男の断末魔が響く中。 さいごのことばがうたわれました。 そして、空が姿をあらわしました。 黒くて真っ白で虹色の輝きが広がるのを見ながら、子供達はうっすらと微笑みました。 なんてきれいなけしきでしょう。 きっと自分はこのために、ずうっと歌を教えられてきたのでしょう。
そこで全てがぶつりと途切れました。
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…気付けば、たったひとりでした。 どうしてこんな所にいるのか分かりません。 外見も記憶も知識も代償としてごっそり削り取られて。 自分がした事も、出来た事も、自分が何であったのかも忘れて。 何処で覚えたのか分からない歌だけを、ぼんやりとくちずさんでみました。 それはとてもたいせつな事のような気がしていたからです。
晴れ上がった空の青だけが、とてもきれいな。 そんな、なんでもないある日の事でした。
すべては、むかしむかしのおはなしです。
ふらふら歌って月に5万エンくらい。お金にならない所でばっかり歌っている所為かもしれない。 大体月に4、5万使う。何に使ったのか覚えてない事も多い。 所在地は宿を取ったり、何処かに泊めて貰ったり、野宿だったり。 常に背負い袋を持ち歩き、大体財産と言えそうなものはその中。 きれいな服、きれいな水の瓶詰め、よく分からない石が色々、擦り切れた本、枯れ草の腕輪etc。一見すれば結構がらくた。 現金は8万くらい入ってる。
日常1 戦闘0
色々追記と変更。
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