タイトル | : 奴隷たちは牧羊羊の夢を見るか |
投稿日 | : 2008/09/09(Tue) 23:01 |
投稿者 | : EM |
―――――かくて、様々な波紋を起こしながらも、物語は終わる。
貴族は貴族である以上、公平である。
逃げ切った奴隷たちには報酬を。
夜明けと共に、隠れ場所なり、枕元なりに、
金貨の詰まった皮袋を見つけるだろう。
獲物を追い立てた狩人たちには報酬を。
奴隷ギルドの職員が、労をねぎらいながら、
貴方に金貨の入った小袋を手渡してくれる。
囚われた奴隷たちには罰則を。
如何なる理由があろうと逃亡は罪。
敗者には敗者としての、厳しい調教が課せられる。
とはいえ、逃げ切り、主人の元に戻った奴隷はその限りではあるまい。
金銭こそ渡されぬものの、それなりの待遇を確約した上で、
奴隷ギルドの方へと返却されることだろう。
貴族を追跡する試みは失敗に終わる。
官憲の手も伸びるだろう。或いは雇われた者も迫るだろう。
しかし保身に長けていることもまた、貴族の条件なのだから。
かくしてスレイブランナー、これにてお開き。