タイトル | : 報告書 |
投稿日 | : 2010/12/07(Tue) 20:35 |
投稿者 | : リヒャルト |
【ウォータリアン銃「テッポウウオ」に関する報告書】
これはヴェイトス市に流通しているものとは全く異なる、新式の銃である。
既存の銃器をはるかに凌駕する性能を持っており、完全な別物と認識する事を推奨する。
ライフリングと呼ばれる、銃身に溝を刻んで弾丸を回転させる技法が施されている他、
横に突き出たボルトを操作する事により、金属製の実包をより素早く装填する事が可能で、
これらの工夫により、既存の銃器を遥かに凌駕する射程、威力、連射性能を備えている。
加えて先端の尖った円錐形弾丸は、通常の球形弾丸よりも貫通力が高い事が予想される為、
生半可な金属鎧では防御することも困難であろうと思われる。
操作性自体は単純かつ簡単な為、扱いに慣れるのに時間はかからない。
兵士に対して簡単な訓練を施せば、すぐにでも鹵獲した銃の運用は可能である。
これらの技法は、現在でも実用化されているものも含まれてはいるのだが、
極めて精密な細工を施さない限りまともに動作せず、暴発の危険性も極めて高いため、
現在のヴェイトス市の技術力を鑑みる限り、再現は可能であっても、量産は不可能であると思われる。
転じて、ウォータリアン軍が、極めて優れた軍事技術を保有していることの証明でもあろう。
【危険視するべき戦術と対応】
1.野戦における集団運用
隊列を組んだウォータリアン軍の一斉射撃に対して、
既存の騎兵による突撃は全くの無力であると思われる。
エイシェン軍においては「塹壕」「散兵壕」と呼ばれる溝を掘り、
その中に身を隠すことによって、銃弾に対しての防御としていた。
敵の上陸が予想される海岸などに、予め掘って備えておく事を提案する。
2.室内における集団運用
現在、ウォータリアン軍において最も確認されている戦術である。
室内にて襲撃を受けた場合、とにかく姿勢を低くし、遮蔽物に身を隠すこと。
銃は低い位置のものを狙いづらく、また幾ら貫通力が高いといっても壁は撃ちぬけない。
また銃は構えている肩側へは動かしづらい為、そちらに避ければ命中率は下がる。
移動する際も遮蔽物から遮蔽物へ、なるべく屈んで素早く移動するように。
真正面からの突撃は、よほどの身体能力が無い限り、完全な自殺行為である。
室内における銃は飛び道具ではなく、至近距離で一撃必殺が可能な武器と認識するべき。
3.狙撃による暗殺
現在は未確認だが、今後の可能性として警告しておく。
長射程、高威力の銃器であるから、各要人には警戒が必要である。
自分のいる部屋のカーテンは常に閉めておくこと。
明かりを設置する際は、カーテンのすぐ傍におくこと。
人のいない部屋の明かりも付けっぱなしにしておくこと。
レストランなどでは窓際に座らないこと。
職場への通勤路は毎日必ず変更すること。
馬車は必ず目的地の玄関先につけること。
狙撃とは基本「待ち伏せ」であるから、これらの事を徹底すれば、
敵も標的を絞れず、身を守れる確率は格段に上昇する。
―――リヒャルト・アレクセイ