タイトル | : パラノイア |
投稿日 | : 2010/10/12(Tue) 23:13 |
投稿者 | : カイン(アイゼンリッター) |
――間違いない。
薄汚れたヴェイトス市の暗黒街を歩きながら、鉄仮面の怪人は呟く。
奇妙な津波、漂着物、遠洋から煙が立ち上り、そしてウォータリアン達の騒動。
これを関連付けないのは、よほどの楽観主義者か愚か者に違いない。
土着の犯罪組織が動き出さない以上、これは外部からのアウトローの流入ではない。
『浪人騒動』の際と異なり、市民の注目は高くなく、反ウォータリアン感情も高まってはいない。
つまり「奴ら」は深く静かに、しかし何らかの目的をとって行動している事になる。
統率を取れていないのは気になるが、「偶然」多数のウォータリアンが騒ぎを起こしたという事は考え難い。
商業地区で遭遇したウォータリアン、自称シーナイトのチクとの会話も、それを裏付けた。
彼女は武装しており、その口調は単なる犯罪者それとは異なっていたからだ。
「ウォータリアンの集団が、ヴェイトス市で暗躍している」
男の中で、それはもはや真実に近い情報だった。
彼はいつも通り、手帳に殴り書き――筆跡を特定されないように――で自分の推理を書き記すと、
頁を千切り取って「E.R.」という自分の署名を施した封書にいれ、自警団の詰め所へと投函した。
無論、市民――そして自警団の間で、この鉄仮面の怪人の評判は高くない。
狂人の戯言として処理される可能性も極めて高いだろう。
加えて、彼が実際に得た情報は「商業地区にて街を監視する自称シーナイトのウォータリアンがいた」というだけだ。
後は全て、彼個人がでっち上げた推理、妄想の産物に過ぎない。
だが、強迫観念に囚われた者の妄想は、時として真実に到達する事がある。
これが鉄仮面を被った男の狂気の産物か否かは……今後の展開次第だ。
10/6:暗黒街
10/7:暗黒街
10/9:商業地区(チクと遭遇)
10/11:スラム
10/12:海岸
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以下調査継続中
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