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タイトル 12歳の「お七煉獄」
投稿日: 2010/04/20(Tue) 01:18
投稿者最上煌耀

(そのアマウラらしい和装―― それも、少々古色蒼然とした裃姿の ――11、12歳の小娘は招待客では決してなかッた。
展示会のチケットも持ッていなかッたし、何より風体も年齢も、上流会で行う画家追悼会にはあまりにも場違いだッた。
迷い込ンだのだ。帰路に迷ッて当ても無く街をさまよううち白いドレスとタキシードの背の高い人波にどッと飲まれて。
ぺたンと座り込ンだ子供を見咎めて、貴婦人が眉を潜めて扇を口元で覆い、召使いがクスクス笑う。
係員がネコでも摘まむように襟首をつかまえて、早々に放り出そうとした、そのとき、)
(童女の瞳に、ふと映ッた絵は、一面の踊る炎だッた、)

(胡桃色の髪をした童女は、その鮮血のごとき地獄絵に自失然と昔の記憶を思いだす。
そう言えば、故郷にいたころ浄瑠璃人形を見に行ッたとき、煉獄の場面を描いた無残劇があッたッけ。
恋に焦がれた娘が八百屋町に火を放ち、背景はさながら地獄のようにやッぱり真ッ赤に変わッた。
生きながら焼かれて死ンで行く町人たちは、希代と讃えられる人形遣いの手の上で、亡者のようにもがいていた。
―――あの頃は、みな幸福だッたのに、)
(家族が地獄を味わいながら死ンだのかと思ッた。見事な画風が瞳を焼く。引ッ張られた襟の痛みに、訳も解らず乾いた頬に涙が溢れた、)
(出口から放り出される刹那、童女は歯を食いしばッて呟く、罰が受けられるなら、)
(受けられるなら、)




「――― わたしも、お前たちの、世界に連れてッ て、」




(係員はふと手が異様に軽くなッた事を感じよう。引き寄せてみれば、ただ空虚を掴ンだ感触だけを取り残して、)
(顔を上げれば、)
(溶岩流を茫然と見つめる裃姿の童女が後ろ姿で描き出されていた。)
(係員は殆ど中身のない風呂敷包みを落として改めて確信した、)

(――この絵は、呪われている。そして人を呼び込むンだ、)



(PL:参加表明のご挨拶が遅れまして、粗相のご無礼を申し上げます。
実に初級PCの生命を掛けた一般職参加と相成りました。PLもPCも不束者ですが、お暫くの間、宜しくお願い申し上げます。)


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