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タイトル ( 大聖堂からの帰り道 )
投稿日: 2007/09/21(Fri) 03:42
投稿者ソレディー

( 大通りの隅っこを歩いて宿に向かう、大聖堂からの帰り道。
  知らない食べ物を売っている屋台と、その前で買ってと駄々をこねる子どもに気をとられた一瞬。
  路地から飛び出して来た誰かにぶつかられ、押し倒されるように転んでしまった。
  一拍遅れて鼻をついた血のニオイに、襲われたかと胆を冷やしたけれど。 満身創痍のその人を見て、それはすぐに別の驚きに変わる。

  どうしたんだろう、動いちゃだめだ。

  身を起こしながら、『大丈夫?』 と口にすることができたかどうか。
  信じられない精神力で飛び起きたその人は、有無を言わせぬ迫力で 『奴らに渡すな』 と小さな筒状の物を押し付け、駆けて行ってしまう。
  何事かとざわめく通行人たちの中に 『奴ら』 と思しき人は見当たらず、わけもわからないままにそれだけが手元に残された。

  明日、この時間にこの場所で待っていれば良いのかな。

  翌日いくら待ってもその人は現れず、その代わり、誰かに見られているような気配を感じる。
  こんな街中で、まるで森の危険な領域を侵してしまったような。
  酷く嫌な感じがして、足早にその場を離れた。

  これから 『これ』 を、どうすればいいのだろう。 )


【不朽体:眼球(と神経で繋がる脳の一部)】

宗教的な装飾を施された筒状の容器に納められている。
ピエール・ホーキンズが切断した物ではなく、ミイラ化の過程であらかじめ摘出されていた物。
原形を留めていないかもしれないが、何れにせよ破壊せずに中身を確認することは困難で、ソレディーはそれが何であるかを知らない。

発現したのは 『注視しようとする』 ことで、あらゆるものを見通す力。
空気の流れや筋肉の動きを視力で捉え、1km先の本が読めたり、飛んでくる銃弾を視認できたりする。
深い闇にも強い光にもその視力は阻害されず、透視すら可能。
しかし情報収集に特化した能力でしかなく、運動機能はともなわない。
飛んでくる銃弾を視認しようとも、身体が反応できなければ命中は避けられない。


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