タイトル | : 裏事情 |
投稿日 | : 2007/10/11(Thu) 19:10 |
投稿者 | : 複眼を持つ”軍曹” |
――ピエール・ホーキンズ牧師の殺害に端をおいた一連の事件。
”不朽体”も”異端者”も、そして”ピエール”も。
総てが大聖堂によるプロパガンダに利用された、というだけだ。
何故、大聖堂が大っぴらに回収活動に動かなかったのか。
大聖堂に保管される”不朽体”が偽者だと知れたら不味い、という理由はあるだろう。
だが、それが”当初からの予定通り”なのだとしたら?
ストリートで闘争に用いている者の何人が、これを”不朽体”だと思う?
いや、単に戦うための道具としか認識しないだろう。
それで良いのだ。”不朽体”は、大聖堂にしか存在しないのだから。
街には”不思議な力を持つ死体の一部”がある、という噂のみ。
……少々、出来の悪い噂だがな。
”異端者”は全員処理され、”不朽体”はピエール牧師の手によって散逸した。
或いは一部が大聖堂の手に渡ったが、何の不都合も無い。
そして新設の部隊は目覚しい活躍をし、民衆の信仰も集まる。
……言う事無しだ。
”ベルゼルガ”?
ストリートのならず者部隊が、多少の小金を攫って行ったところで、
大聖堂には何の問題も発生しない。
――結局、このゲームの勝者は”大聖堂”以外には、最初からあり得なかったのだ。
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寡黙な男は、いつになく饒舌に語ると、ギムレットを煽った。
そうして新聞記事を広げ、スナークハンターズという単語を認めると目を細めた。
「喜べ。――――これから、もう少し楽しくなるぞ」
……そう言って、男は鮫のように笑った。