タイトル | : ――結末 |
投稿日 | : 2007/10/11(Thu) 18:42 |
投稿者 | : とある地方の村 |
【一夜があけて】
――ブスブスと黒く焦げた材木からは、未だに煙が昇っていた。
いや、これは果たして本当に木なのだろうか。
或いは、殺され、焼かれた異端者の死体なのかもしれない。
事後処理を仰せつかった教会の人員の誰もが、そんな事を思う。
だが、口には出さない。決してだ。
十月十日の深夜。
この村落に巣食っていた異端者が殲滅された。
下っ端の助祭にはまったく関係の無い話だが。
噂だと、先日殺害された牧師の仇討ちだとか。
まあ、それとは無関係に、単に異端者を殲滅しただけかもしれないが。
何にせよ、下っ端には関係が無い話なのは変わりない。
手早く調査と処理を済ませねば、仕事を終えて一心地というわけにもいかない。
嘆息すると、彼は手元の書類を捲り、そこに書かれている項目をチェックしていく。
「…………ん、あれ?」
「どうした?」
「なあ、おい。この調査項目の”不朽体”ってなあ、何だ?
いや、何かは知ってるが、そんなモノがここにあるのか?」
「ああ、それならな。
”不朽体なんて物はこの村には無かった”んだよ」
「?」
「”初めから”な。だから、そう書いておけば良い」
「……ああ、へいへい。了解しました、と」
「にしても、凄いなァ。異端者殲滅で、村一つかよ」
「ああ。……どんな連中がやったのやら」