タイトル | : ――――5月28日 |
投稿日 | : 2008/06/26(Thu) 17:56 |
投稿者 | : エドワード・ランディ |
この大学は広く、入り組んでいる。
だからこそ私はこうして長時間潜伏していられるが、
これは私にとって幸運な事でもあり、厄介な事でもある。
隠れる場所が多いからこそ、警戒が緩まることは無いだろう。
つまり……逃げることは出来ない。私も、だが。
どうにかして事態を解決したいが――……くそ。
まったく、ロイヤルめ。真面目な馬鹿は死んでも面倒を残す。
辛うじて私が持ち出せたのは短銃と、この日記帳だけだ。
仕方ない。あの時は時間が無かった。
膠で汚れた白衣を脱げただけで良しとすべきか。
だが――これで何ができる?
何もかもが足りない。時間も、道具も。
あとは僅かばかりの知識だけ。
調査ノートも持ち出せれば良かったんだが。
糞、部屋の何処に置いたか忘れるだなんて!
……考えろ。考えるんだ。
私に出来る事は何か。
それと――ジャネット。彼女だ。
時間を見計らって逢いに行こう。
彼女なら、私の陥った事態を理解してくれる筈だ。
もしくは協力も頼めるかもしれない。
彼女までも巻き込むのは、正直良い考えとは思えないが……。
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字が読み取り辛いのは、どうやら黒い膠だけが原因ではあるまい。
酷く焦った字体で、このページは走り書きされていた。
しかしながら、筆跡を始めとする文書の特徴は、
前回キミが手に入れた日記の断片とほぼ一致するものであり、
つまるところこれは、エドワード・ランディの日記である。